松野君への追伸
あなたの決心に勇気をもらって、私も前を向いたあの年。
あれからあなたと私が再会するまでに、2年経ちました。
アニメ『おそ松さん』第2期です。
どれほど心待ちにしたことか。
でも、あなたはギャグ世界の住人だから、あの決心も就職も全部なかったことになっちゃってて。
私は、あなたからもらった勇気を胸に現実世界を生きて、事務所に入って新しい仕事をしたり、あるいは、高嶺の花だと思っていた憧れの人に勇気を出して声をかけて、お付き合いを始めたというのに。
2年ぶりに出会ったあなたの物語に触れたとき、
白状します。
私は、もう、あなたの気持ちに寄り添えなかった。
「社会的な劣等者である童貞ニート」のキャラクターを、どこか見守るような、慈しむような目で見るしかなかった。
その時わかりました。
あなたを想った日々は確かに私にとって本物でした。
でも、あなたはそこから離れられない。歳も取らない。
あなたは永遠の若者で、変わらなくて、そして私が死んでも、永遠に新しい世代に愛されてゆくのでしょう。
まるで神様か精霊に恋をしてしまったよう。
私ばっかり歳を取ってゆく。そして、変わってゆく。
あなたに勇気をもらって、行動して、私は素敵な人と出会いました。
友人も、仕事仲間も、恋人も。
「モノローグ演劇祭」という企画に挑むことを決めました。
最初は脚本家さんに台本を書いてもらったけど、身一つで自分が挑めるチャンス、どうしても諦めきれなくて、やっぱり自分で書くことにしました。
私は「3年前の私」を演じました。
初めて、自分の身体と肉声で、あなたに想いを伝えたのです。
こわかった。
ずっと、胸の奥につっかえていた、隠しておきたい、私だけのものにしたい、見られたくない、後ろめたい、気持ち。
黙ってれば誰にも知られないけど、あなたにだけは知って欲しかった、そんなズルい気持ち。
3年前の私の手紙のあとだけど
いまの私からの追伸を添えさせてください。
ねえチョロちゃん。
私、結婚したんだよ。すごい素敵な人。
どこまで行っても会えない喋れない触れないあなたと違って
抱きしめてくれて、一緒に散歩をして、
叱ってくれて、毎朝毎晩新しい表情を向けてくれて、
私はね、この世界で、ちゃんと私なりの幸せに手を伸ばして、
そしてその手を取ってくれる人に出会えたんだよ。
だからチョロちゃん。
あなたのことはずっと好きだけど、
私は私で、幸せになるからね。
勝手に幸せになるからね。
永遠の私の「推し」松
松野チョロ松くん
“新作”で、また会おうね。